バレンタインデー讃歌

　

　齢、還暦を過ぎ、今年はとうとう、妻から頂戴したチョコレートだけとなり、バレンタインデーが普通の日となった。定年までのサラリーマン時代は、社内義理チョコといえども、嬉しく頂き、ホワイトデーのお返しに、気を使ったものだが、年寄るとは、自然と枯れねばならないのかも知れない。
　今となっては、その記念碑として、バレンタインデー讃歌をここに載せることにした。

　

　

　

愛告げる　バレンタインの
この佳き日　義理も肖る
ともどもに　遊び心は
恨みなく　無作法もなく
苛立たず　不義に迷わず
寛容に　情け深かり
愛ゆえの　彷徨を断ち
恋愛の　欲に溺れず
愛すべて　奪うといえど
プレゼントの　内なる誠に
相照らす　清き心は

語るべし
真の愛ある　バレンタインの

　

　

　

嬉しきは　バレンタインの　夜の宴
　　　チョコ頂きし　男心よ

歳知れど　バレンタインに　肖りて
　　　夢多き頃の　ときめき思う

チョコレートの　甘き香りの　残るれば
　　　若作りせん　心をぞ笑む

チョコレートの　甘き香りに　誘われて
　　　子供の頃の　夢路に遊ぶ

四十坂を　越えつつ迎える　佳き日なり
　　　バレンタインの　甘き香りよ

この度は　義理も欠けると　思いしに
　　　粋な婦人の　ありて嬉しき

　

　

　

白髪も　添えて数えし　五十年
　　　男冥利の　酒入りのチョコ

離れても　心に満ちる　幸せよ
　　　バレンタインの　グラスロマンス

白髪も　ロマンスグレーの　若作り
　　　男冥利の　一口の味

知命たるも　バレンタインの　時めきは
　　　男冥利の　内祝いかな

　

　

　

一日に　一つと言われ　食べ繋ぐ
　　　ホワイトデーの　チョコレート余話

甘きものに　目の無き吾を　気遣わん
　　　小ママもいて　果報者なり

図書券に　千代女の夢を　託さんや
　　　心豊かに　読書三到

いつの日か　三つ指つきし　挨拶は
　　　三千里の内　故人の心

　

　

　

世の中は　五十嵐吹きて　荒れにしも
　　　ライフアップの　ゆとりを得たる

青春へ　プレーバックの　回想は
　　　ホワイトデーの　贈る言葉に

　

　

　

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