富士山がコーン形の現在の姿になってから久しい。５０００年前の縄文時代から、ほぼ今ある美形の山容を呈しているという。富士山を題材にした、絵画・写真はもちろん、詩歌においてもその美しさは万人の胸を打つものがある。
万葉集には、富士山の歌は１１首読まれているが、その当時、富士山は盛んな火山活動をしており、それを畏れて、霊山としてたたえる歌がみえる。
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田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にぞ 富士の嶺に 降り置く雪は 水無月の 富士の嶺を 高みかしこみ 雨雲も 我妹子に 会うよしをなみ 駿河なる 霞みいる 富士の山備に 我が来なば |
山部赤人 万葉集：３１８ 高橋蟲麻呂 高橋蟲麻呂 詠み人しらず 詠み人しらず
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万葉集の中に富士山の歌が意外に少ないのは、当時は、富士山は霊山であり、崇め、敬う気持ちが高く、「赤富士」「逆さ富士」「富士の笠雲」などという、富士山を景観・景物として詠む対象ではなかったものと思われる。
俳句にみる富士山は、次の様である。
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一尾根は しぐるる雲か 富士の雪 目にかかる 時やことさら 五月富士 霧しぐれ 富士をみぬ日ぞ 面白き 不二ひとつ うずみ残して わかばかな 夕不二に 尻をならべて なく蛙 なの花の とっぱずれ也 ふじの山 |
芭 蕉 芭 蕉 芭 蕉 蕪 村 一 茶 一 茶 |
俳句の世界の富士山には、風流人としての芭蕉のさび、蕪村の洒脱、一茶の軽妙を、そこにみる楽しみがある。しかし、富士山を霊験あらたかに観ずるものは、そこに見当たらない。
さて、富士山へのこだわりを詠んだ私の歌をここに載せます。（
英舟：富士山讃歌）
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その昔 富士の御岳は
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田子ノ浦の 富士はいかにと 尋ぬれば 深山入れば 八十の曲がりは 白帯の 水温む 頃とはなりても 大橋に 寒気のみ 氷上にありて 風無くば 自ずから 手を合わせたき 心地なり |
田子ノ浦の富士
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茜さす 御山の影や 逆さ富士 日の暮れて 雁行く姿 認めれば 開墾の 畑一枚を 作り終え 富士山に 笠雲掛かれば 持ち行きな 達磨山に 登りてみれば 駿河湾に |
日本平の富士
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吊るし雲よ 富士の美山の 背な越しに 風景の 中に欠かせぬ 顔ひとつ 富士山は 遠き別れの 内に住み 今は遠く 霞みし方に 富士の山 |
吊るし雲の富士
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富士山讃歌 おわり
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