地方富士の歌

　富士山に肖り、それぞれの地方には、その土地を名乗る富士山、すなわち、地方富士がある。
　土地の人からは、特に愛着を持って見られているわけだが、他所人たる一期一会の旅人には、めったにお目にかかれない御山として、有り難い存在である。

　これまでに、私が拝顔した地方富士の歌をここに載せます。旅のよすがに、その土地に馴染んだ地方富士を、もっと多く訪ね歩きたいものである。（英舟：地方富士の歌）

＃１ ＃２ ＃３ ＃４	蝦夷富士は　白衣の天使の　ごとく居て 　　　北の旅路の　安らぎを知る 津軽子の　心におわす　岩木山 　　　お山詣でに　幟立て行く 彼の山は　女とは思えず　傷多し 　　　中禅寺湖に　浮かぶ男の山 錦秋の　山尋ぬれば　一時の 　　　冷気を羽織る　榛名富士みゆ	蝦夷富士：羊蹄山 　津軽富士：岩木山 　下野富士：男体山 　榛名富士：榛名山
＃５ ＃６ ＃７ ＃８	黒姫の　悲劇は知らず　野尻湖の 　　　雪の衣の　帯解くをみる 白樺の　林の奥の　高原に 　　　蓼科山は　富士を装う 馬の背に　しがみ付きつつ　叫ぶ児の 　　　声吸い込まれゆく　大山の夏 相客は　薩摩富士みて　涙ぐむ 　　　単身赴任の　船旅の夫	信濃富士：黒姫山 　諏訪富士：蓼科山 　伯耆富士：大山 　薩摩富士：開聞岳

ホームページへもどる