日曜百姓の歌

　百姓が専業でない、いわゆる素人の日曜百姓が畑仕事をやると、妙に天気が気になる。夏の日照りが続くと、うんざりするし、作っている草花が枯れ込めばがっかりするばかりである。
　なまじ、野菜などは、自分で作るより、買う方が安上がりな今日このごろ、生業として百姓をする気が失せてしまうと実感している。

　さて、水の蓄えの乏しかった万葉の時代には、雨乞いの神頼みしかなかった。旧暦の５月６日から約一ヶ月の日照りのとき、大伴家持は、「……　櫻児の乳乞うがごとく　天つ水仰ぎてぞ待つ　」と雨乞いの歌を詠んでいる。この時代の雨乞いに賭ける気持ちはただならぬものがあったろうと推察される。しかし、こんな歌も詠まれている。

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我が望（ほ）りし　雨は降りきぬ　かくしあれば
　　　祝詞（こと）上げせずとも　年は栄えむ

大伴家持
万葉集：４１２４

　これは、雨水は神頼みだが、いったん雨が降ってしまえば、神への感謝など忘れてしまうという、昔も今も相変わらぬ、凡人の心情を吐露しているように思う。

　ここに、おめでたい今様の日曜百姓の歌を載せておきたい。（英舟：日曜百姓の歌）

鍬入れて　畑起こせば
砕かるる　畝の土くれ
種まきて　如雨露の慈雨に
廿日経て　土の室より
双葉出で　いとど目出度き
葉の上に　花を目にして
日の目みる　その日夢見る
風吹けば　か細き茎に
巻き付けし　竹の添え木を
雨の日は　畔に傘さし
掃き除けし　水の溜まりを
日の照れば　土の乾きに
癒しやる　如雨露の雨降り
育みて　百日あまり
収穫の　喜びここに

百姓の　
気を打ち込めて　畑起こせば　

＃１	一坪の　畑に咲くや　団地子の　　　茄子の溺れし　如雨露の雨降り	英　舟如雨露の雨
＃２	雑草に　まみれし畑を　耕して　　　日曜農夫は　花の種蒔く	日曜農夫
＃３	一畝の　期待に夢中の　時を得て　　　籠一杯の　薩摩芋掘る	芋掘り
＃４	焼き芋を　頬張る頃や　夕映えの　　　庭の立ち木の　影いざり寄る	焼き芋
＃５	手に取れば　柿の実熟れて　百舌鳥鳴きぬ　　　吾子と過ごせし　里の一日	里の日暮らし
＃６	お土産に　貰いし葱の　土かぶり　　　車の中に　匂い振りまく	葱のお土産
＃７	暮れなずむ　庭に漂う　もろこしの　　　匂いは仄か　バーベキューの跡	暮れなずむ庭
＃８	楽しみは　週に一度の　馬来田ゆき　　　妻と向かいて　飯を食うとき	日曜妻

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