残雪を 木の間隠れに 鳩待ちの 峠へかかれば 朝霧昇る
白樺の 林を隔つ 徑の端の 白き帽子は 虫狩りの花
大き樹の 根方に寄りて 延齢草 深山に忍ぶ 命の限りは
紫の 花のひとつや 風誘う 白根葵に 出逢いて嬉し
沼気好む 人もあらんや 木道を そぞろ歩みつ 水芭蕉訪う
群れて咲く 尾瀬の昔を 知る輩 嘆きの一株 山荷葉の花
尾瀬にみる 千島桜の 華やぎは 地に反射する 春の陽のごと
雪解けの 傷痕残す 草原に 猩々袴の 桃色吐息
木道に 人垣つくる 衆目は 初物とみゆ 三槲の花
姿やさし 尾瀬の池塘の 立金花 数は限りと なりて寂しき
雪に負う 長き日々こそ 谷地柳 再び芽吹け 尾瀬の池塘に
残雪は 人それぞれの 思い込め 至仏岳なる 丸き山背に
遊山三昧へもどる
