ススキの宿

　薄の古株に宿る南蛮煙管という、面白い名前の植物を知ったのは、学校の課外活動で生物部に入っていた息子と一緒に、住まいの近くの薄の原っぱを探し回ったときだった。当時（六十年代）、まだ佐倉・四街道界隈には、薄の原に南蛮煙管の群落が数箇所みられた。これに気をよくして、清澄山まで足を延ばして探検した。
　それから四・五年して、当時目をつけておいたその場所に行ってみたが、もはやその面影すらなくなっていたのには至極残念であったことを覚えている。
　宅地造成が急速に進み、人間には快適な住まいが建ったが、薄の原は潰されたり、踏みにじられたりして、南蛮煙管が住める宿は全滅してしまった。
　さて、万葉集にはこんな歌がある。