痩せの鰻取り

　土用の丑の日（七月下旬）に鰻を食べる習慣は、江戸時代からで、これは、平賀源内がうなぎやの広告のキャッチフレーズに取りあげたのがそもそもの事の起こりとか。しかし、鰻の効用は、万葉の昔から知れていたようで、大伴家持は、吉田連老（よしだのむらじおゆ）、字は石麻呂（いわまろ）という人に贈った鰻（むなぎ）の歌に、こう詠んでいる。

　さて、石麻呂さんはどう応じたか。興味深く、面白いところだが、しかし、その問答は、見当たらない。

　若い頃、やせていた私は、「やせ蛙」とか「洗濯板」とかいう渾名を頂戴していたから、ここは何か言い返さずにはいられないところ。なら、どうする？

　はて、大伴家持は、先の歌に続けて、次の歌も添えている。

　この歌に対しての石麻呂さんの問答歌は出ていない。畏れ多くも、私が代わって、問答歌を差し上げるとしたら、こんな歌を贈りたい。