九州一見の旅

元旦の　朝一番の　ときめきは
　　　九州一見　旅立ちの駅

瑞雲の　棚引く様を　下に見て
　　　機上の人とて　元日迎う

小雨降る　空港はいま　もやる中
　　　レンターカーにて　阿蘇へと向かう

一刻の　晴れ間を見せては　霧迫る
　　　阿蘇の五岳の　顔拭うごと

四街道駅
　

羽田空港
　

熊本空港
　

阿蘇山
　

斑にも　雪化粧せる　草千里
　　　風の通い路　声のすがしき

米塚を　是非に見たきと　思えども
　　　標識ばかり　深霧の中

元日の　ドライブインの　お勧めは
　　　お節代わりに　馬肉のうどん

苔むせる　大杉にして　台風や
　　　百年来の　根幹を折る

阿蘇山　
　

高松
　

断崖に　白き花散る　水飛沫
　　　真名井の滝を　水鏡にみる

断崖は　柱状節理の　景をなし
　　　青磁の淵に　影を宿せる

対岸に　岩戸となりし　奥の院
　　　神を秘めたる　渓谷の幽

石橋の　古老を語る　欄干は
　　　緑の真珠の　豆蔦飾る

高千穂渓谷
　

夕霧の　立ち上りたる　谷間には
　　　名残の雪の　白きこんとん

元日の　厳かな夜の　泊りより
　　　ライトアップの　熊本城みる

朝霧の　いよよ深まり　先見えず
　　　谷川の音　妙なるを聞く

かくもまた　遠くに来たり　奥別府
　　　水分峠に　立ちし実感

国見ケ丘
　

熊本キャッスルホテル
　

菊池渓谷
　

水分峠
　

霧晴れて　杉の林の　その先へ
　　　深耶馬溪の　谷間にぞ入る

苔生して　岩に割かるる　耶馬溪の
　　　谷のせせらぎ　鳥のさえずり

台風に　剥がし取られし　岩肌の
　　　元へ戻るは　千年の後

杉林の　なぎ倒されし　その様に
　　　自然の猛威を　耶馬溪にみる

雲仙の　方や如何にと　目をやれば
　　　闇に漁り火　天草の宿

車寄せて　一つひとつを評せんや
　　　天草五橋の　姿いろいろ

来たからに　四郎の像に　手合わせん
　　　殉教のことは　二の次にして

草枯れて　成趣園は　静かなり
　　　絵葉書にない　冬五十三次

天草国際ホテル
　

天草　
　

ばあさまが　孫に奢れる　ラムネ水
　　　昔のことを　云いてはにかむ

柚子山葵の　香りが効いて　だんご汁
　　　峠の茶屋の　気取らぬ名物

楠の　堀へ生い立つ　強力に
　　　天守の館　微かなる笑み

歳月は　日々に疎くも　城垣の
　　　石組み緩まず　武者返したる

金峰山
　

熊本城
　

剣客の　構える姿　隙はなく
　　　冬公園に　立ちし肖像