秋の庭

庭の薫風

　

庭隅に　漫ろ群れいる　鈴蘭の
　　　葉裏のぞかす　風の揺り籠

年越えの　不生女にして　錨草
　　　その花に吹く　風の労り

風に揺れる　小花可愛ゆき　甘野老
　　　鳴子のごとく　身震うほどに

子宝を　いくつ見つけて　海老根草
　　　十薬の中　咲くを誇れる

　

　

満天星の　木下に咲くや　ひっそりと
　　　一人静は　風を厭いて

　

　

グランドの　縁に咲き居る　金蘭を
　　　鉢に移して　庭の一景

　

　

翠芳の　茶の香楽しむ　一時は
　　　薫風を待つ　庭のおちこち

　

　

庭先の秋小景

　

月見会に　飾る薄の　代わりとて
　　　穂先の似たる　葦を採りたり

月待てば　雲井を出でて　居間に満つ
　　　光の影に　萩のこぼるる

蟲の音に　眼閉じれば　聞こえるは
　　　秋の有情　静寂の中

伸びのびと　枝八方の　吾亦紅
　　　副木に矯めらる　中庭育ちよ

　

　

コスモスの　白一株の　庭隅に
　　　声を潜めて　独り蟋蟀

庭先の　花時鳥　手折れども
　　　花瓶に挿せば　余命輝く

　

　

花はいまだ　秋の日溜まり　長らえて
　　　八頭身の　百日草よ

残り花の　少なくなりて　玉簾
　　　今ときめかん　三日月の朝

　

　

こぼれ種の　思いもかけぬ　活力に
　　　花いっぱいの　インパチエンス

懸崖に　なお咲き続く　サフィニアの
　　　心和ます　花の紫

　

　

　

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