冬の庭

冬の庭の佇まい

　

石蕗の　黄の華やぐを　垣根より
　　　人目のありて　初冬の挨拶

山茶花の　散り敷く庭の　縁取りに
　　　クロツカスの角ぐむ　やさし紫

残り香を　茎の双葉に　留め置き
　　　菊の誉れを　冬に引き継ぐ

初めての　冬越しとなる　庭隅に
　　　十両の実の　ひとつは寂しき

　

　

床替えに　千両の実の　幾つかは
　　　まだ時を得ず　浅き緑に

しっぽりと　夜寒のなかに　身を置けば
　　　万両の実の　赤く染まりく

　

　

夏ばてに　絶えしとみえしが　面かすか
　　　猩々袴や　ロゼット再生

冷え冷えの　手を擦りながら　見回せば
　　　霜の土くれ　木の根を浮かす

　

　

山採りの　真弓の木の実　円らにも
　　　庭に馴染みて　鳥の寄り道

何時の間に　啄ばみ行かれし　万年青の実
　　　花芯残して　冬の裸身

　

　

庭の初雪

　

初雪の　庭一面に　降りおれば
　　　日がないちにち　炬燵で過ごす

しばらくは　斑の雪の　花椿
　　　風訪いて　身振るうまでは

庭石の　雪の帽子を　被る様
　　　花咲爺の　姿似せたり

梅の木の　花芽の枝の　残り雪
　　　雫となりて　光り滴る

　

　

譲り葉に　雪の積もりて　解ける間は
　　　しばしとみるも　いつか消え行く

花ひとつ　雪の狭間に　覗かせる
　　　ゆかしヒマラヤ　雪ノ下かな

　

　

　

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