岩山に 乾坤一擲 英令の 大仏様に 慈眼のありて
杖付きて 独り媼の お詣りに 百尺観音 お頼み申す
岸壁に 大和撫子 天の邪鬼
穿たれし 鋸山の 大岩の 窪みに生うる 三つ手裏星
岩場たる 日光黄菅の 転地かな
湾に立つ 入道雲の 照り返し 目に染み入りて 泪出づるも
汗拭きて 岩場に立てば 瑠璃光の 展望開く 湾の天空
夏木立 人目を引くや 沙羅双樹 銅色に 木肌をまぶす
蝶の舞う 思いの外に 数みれば 心字池の 名も忘れ得ず
誰をして 怨みしことの ただならぬ 首欠けたもう 羅漢様かな
風雪の 自然に朽ちる 身なるとも 悲しむべきや 頭無き像
魂の 荒ぶるなかれ 千五百 羅漢の無念を 思い手合わす
羅漢問う 心ひとつや 蝉時雨
