嵯峨野巡り　その２

今昔の　その土地にみる　生活の
　　　習わし託す　郷土人形

垣間見る　老若男女の　百態を
　　　語り部として　嵯峨人形の家

土産屋の　陳列棚の　賑やかさ
　　　京都らしさや　多彩なる色

嵯峨野来た　旅の証に　求めんと
　　　まゆ人形の　お土産探す

西院の　河原来れば　懇ろに
　　　空也上人　所願の地なる

線香の　煙りは絶える　こともなく
　　　水子地蔵の　やるせなき縁

竹林の　小径を渡る　涼風に
　　　笹の声聞く　幽玄の域

　今時の　供花に笑みし　六地蔵

掃き清む　庭に落ちいる　花椿
　　　命のままに　あるがそのまま

黒竹の　根方にありて　慎ましく
　　　春を待ちいる　猩々袴は

大事なしや　一坪ばかりの　水溜まり
　　　もりあおがえるの　棲み家というは

梅の木の　花と見まごう　絵馬の下
　　　狸の置物　ユウモラスなり

　六地蔵へ　花のお供え　喧嘩無く

宸殿の　外の眺めも　時得たり
　　　左近の梅に　右近の橘

写経する　筆の走りは　厳かに
　　　一字三礼　心願の内

大願を　池に映して　五大堂
　　　天下泰平　五穀豊穣

水引し　州に上がりて　日向ぼこ
　　　大沢池の　主は水鳥

松ヶ枝の　姿いろいろ　影なせば
　　　水に映えたる　島と馴染みて

琴の音の　微かに聞こゆ　庭園に
　　　春の息吹の　双幹の松

清流園の　水辺に遊ぶ　鶺鴒の
　　　春を呼び込む　一声を聞く